
以前、インフレ期に適した資産形成のお話しをさせていただきました。
今現在、インフレ時代を突き進む日本ですが、過去にも高度経済成長期など、何度もインフレ時代を経験してきました。今回は、実際にインフレ時代に大きく成長した企業を参考に、インフレ期の資産形成について学んでいきましょう。
なぜそんなお話しをしたかというと、今現在が間違いなくインフレ期の真っ只中にあるからです。
1990年にバブルが崩壊するまで日本経済はインフレが進んでいました。
好景気が続いていたので、この時期はインフレを実感できた方も多いと思います。
バブル期・好景気=インフレとするならば、今がインフレ期にあるとはとても信じられませんよね。
では、今回は『インフレとは何か』という仕組みについてお話ししていきます。
インフレとは?
まずインフレと聞くと、どのようなイメージを思い描くでしょうか。
「物価が上がる」
おそらくこんなイメージではないかと思います。
一つの側面から見ればそれも正解です。
「物価が上がる」
「物価が上がる」と、文字通り物の値段が上がります。
たとえば極端な例ですが、
「1個100円で買えていたパンが、1個200円出さないと買えなくなる」
これが
「物価が上がる」
ということです。
ただし、インフレ期の物価上昇は、農作物の不作や原材料の不足による一時的な物価上昇ではないことに注目する必要があります。
さらにもう一つ、物の値段が上がる状況があります。
それが、
「お金の価値が下がる」
というものです。
「お金の価値が下がる」
「お金の価値が下がる」とはどういうことか。
昔は「銭」というお金の単位があり、その上の単位が「円」でしたが、今の日本で一番低い貨幣は「1円」です。
これは、もう「銭」で買える物がなくなった。
つまり、「お金の価値が下がった」と言うことができます。
では、「お金の価値が下がる」とどうなるか。
「1個100円で買えていたパンが、1個200円出さないと買えなくなる」
「物価が上がる」ときと同じ状況が起こり得ます。
つまり「お金の価値が下がる」こともインフレの一つなのです。
インフレで起こること
「物価が上がる」「お金の価値が下がる」と聞くとデメリットばかりに聞こえますが、インフレで円の価値が下がると、相対的に為替が円安になる可能性があり、輸出産業は景気が上がります。
日本を代表する自動車メーカーなどは良い例です。
円安になると海外への輸出も増え業績が上がっています。
自動車7社の2017年4~9月期連結決算が8日出そろった。7社合計の純利益は2兆299億円と前年同期比21%増えた。円安で輸出採算が改善したうえ中国の新車販売が好調。5社の最終損益が改善した。無資格
↑日経新聞(2017/11/8)
また、コロナで一旦はストップしていますが、円安になると、海外の旅行客は自国の通貨を安く円に両替できるので、インバウンド(訪日外国人旅行)も更に増えるでしょう。
そうなれば、観光業や航空交通業なども潤います。
また、インフレの局面では金利も引き上げられる傾向にあります。
お金を借りる時、金利は高くなりますが、銀行などの預貯金の金利も上がるので受け取る利息が増えます。
- 給料が上がる
- 輸出業や観光業など経済が好調に
- 利息の増加
- 不動産等、モノの資産価値の高騰
- 物価が上がる
- 輸入品の高騰
- 日本から海外への旅行費の高騰
- (お金を借りるときの)金利の増加
- 預貯金など現金資産の価値下落
資産形成とインフレの関係
インフレも一長一短ですが、巨大な経済の流れに逆らうことは不可能と言って良いでしょう。メリット・デメリットを理解して上手く付き合う必要があります。
ひとまず、日本に住んでいる以上、嫌でもインフレの影響は受けてしまいます。資産を築いていきたいならこの流れに乗ることが重要です。
そして、本当の意味でのインフレというものを理解していないと、良い資産形成もできません。
ここまでお話しをすると、
「今、日本は本当にインフレなのか?」
と疑問に思う人もいらっしゃると思います。
しかし、今は確実にインフレ期真っ只中にあり、それは日本政府の政策を見れば明らかです。
次回は、その日本政府のインフレ政策についてお話しをしていきます。
インフレは起こっている?起こっていない?この認識の乖離はどこから生まれるのでしょうか。