
強烈なインフレ政策を次々と実施した安倍政権ですが、総理大臣の在任期間は歴代トップ。
実に7年半の間、政権を維持してきました。
ここまでの長期政権を築いてきた安倍政権ですが、その政策は決してすべての日本国民が幸せになれるものではありませんでした。
アベノミクスが国民の生活に与えた影響からも、「損する人と得する人」がはっきりと分かれていることがわかります。
損する人得する人
アベノミクスの真の狙いは「国のバランスシートの改善」にありました。
巷では失敗したと騒がれてる「アベノミクス」。実はこの政策には表には出ていない「真の狙い」が隠れています。
国家政策は国全体のバランスシートが動いていくことになりますので、当然その影響は私たち国民にも及びます。
つまり、アベノミクスのインフレ政策をうまく利用できたかどうかで、その差がはっきりと分かれた、ということです。
サラリーマン、経営者、不動産オーナー
インフレになるとお金の価値が下がり、物価が上がります。
物価が上がると物の値段が上がるため、もちろん支出が増えることになります。
消費者の支出が増えるということは提供者の収入が増えるということにつながるため、次第に賃金も上がっていきます。
物価が上がると賃金が上がりますが、アベノミクスの場合、財政政策も同時に走らせ始めたため、政策開始と同時に賃金が上がり始めました。
実際に首都圏の平均年収はアベノミクスを発表してから、2010年の573万円から2019年には620万円と、50万円近く上昇しています。

自営業者や経営者も同じく、インフレによる物価上昇で売上が増加し、さらに不動産オーナーも、物価上昇に伴い家賃収入が増加しました。
つまり、サラリーマンでも経営者でも不動産オーナーでも、収入のある人は支出も増えますが、収入も増えるので、大きな影響を受けていないと言うことができます。
では、アベノミクスで大打撃を受けたのはどのような人でしょうか?
年金受給者
アベノミクスで実行されたインフレ政策で大打撃を受ける人。
それは年金受給者です。
繰り返しますが、インフレになるとお金の価値が下がり、物価が上がります。
これに伴ない、収入も上がるのですが、年金は別です。
現在年金は、単純に物価や賃金だけに連動して増減するものではありません。
(『マクロ経済スライド』といいますが、詳細は別記事で)
実際には少子高齢化の現代に年金制度を対応させるため、政府は『年金給付額を実質的に減らして』いく年金政策を取っています。
つまり、インフレが進んで物価が上昇したとしても、年金受給額は増えることがありません。
わかりやすく表すと、『支出は増えるが収入は増えない』ということです。
さらに年金受給者の多くは資産を預貯金で持っています。
以前お話ししましたが、現在は超低金利時代です。銀行に預けていても増えることはほとんどありません。
『金利が上がらない』ーこれは自然に起こっていることではなく、日本政府の思惑が大きく関連しています。
インフレ政策で貨幣価値がどんどん下がっているにも関わらず、その事実を知らない多くの人が預貯金で資産を保有しています。
入ってくる年金は減り、支出は増え、資産は減っていく。
多くの年金受給者である65歳以上の人々が今、この状況に陥っています。
国のバランスシート。国民のバランスシート
国は国債で莫大な借金を抱えていますが、実は、国内に多くの国有地を所持し、外貨も多く保有しています。
外貨保有額は世界ランキングで中国に次ぐ2位。その外貨を自国の資産として運用しています。
しかし、アベノミクス以前はデフレ。
インフレの逆のことが起こっていました。
つまり、国のバランスシートは借金がどんどんかさんみ、資産は目減りする状態。
物価が下がり、お金の価値が上がります。
『多くの負債を抱えながら多くの資産も持つ』日本のアベノミクス前のバランスシートは負債の大きさがネックでした。

比較して国民のバランスシート、特に年金受給世代のバランスシートは、多くの人が資産を円で持ち、銀行に預けています。
借金は嫌いで、負債は少ない。
国民のバランスシートは非常に健全な状態でした。

しかし、アベノミクス後はどうでしょう?
インフレは進み、物価は上昇し資産価値も上昇、貨幣価値は下がり、円安傾向になることも増え、負債は返済もせず減少していきました。
国のバランスシートの改善です。

逆に、国民のバランスシートは、貨幣価値の低下により、銀行にお金を預けているだけなのが仇となり資産はどんどん目減りしていきました。

まるで国民の資産が国に吸い上げられているようですよね。
良い資産形成をするには?
インフレ政策によって国の財政は改善しました。
しかし、その影響は、資産を円建ての預貯金で保有している多くの国民に打撃を与えるものでもありました。
収入のある現役世代はまだしも、年金受給世代はインフレと年金支給額減額のダブルパンチです。
経済の流れを個人が変えるのは難しく、また国としては財政が健全化されるのは悪いことではありません。
しかし、このまま自分の資産を減らし続けたくもない。
では、どうすればよいか?
答えは、
バランスシートを国と同じにする。
国と同じような資産形成をすれば、国と同じ政策を自分でも実施することになるため、自然と資産は増えていくことになります。
政府の政策、方針をよく理解してその時代にあった資産形成をしていきましょう。